コーヒーサイフォンはサイフォンの原理を使ってない
コーヒーサイフォン |
調べたきっかけ
昭和初期に造られて、今でも各地で利用されている円筒分水という仕組みがあります。円筒分水とは、農業用水などの水争いを納めるために、水源の水をある程度均等に分けるための石造りの装置のことです。それにサイフォンの原理が使われていると説明している動画がありました。その動画では円筒分水の全体像が分からないので、本当にサイフォンの原理が働いて水が動いているのか判断できませんでしたが、興味をそそられました。
湯船のお湯をサイフォンの原理で上に揚げてシャワーを浴びられないものかと思い、勉強し始めました。サイフォンの原理については、下記の項目で辞書を引用して説明します。結論から言うと、水の入り口よりも水の出口が低いところにないと水は移動しないので無理だと判断しました。
調べている過程で、大手コーヒーメーカーのWebサイトにコーヒーサイフォンはサイフォンの原理が関係していると受け取れる表記を見つけました。
サイフォンはギリシア語で「チューブ」「管」という意味。隙間のない管を利用して液体をある地点から、目的地まで高い地点を通って導くメカニズムを「サイフォンの原理」といいます。
サイフォン効果は重力と大気圧によって液体が移動するのに対し、サイフォンコーヒーは熱源によって熱せられた水が水蒸気になり、蒸気圧によってお湯が下から上に移動します。共通しているのは管を液体が流れることだけです。下記URLでDevices_that_are_not_true_siphons(真のサイフォンでない機器)の項目にサイフォンコーヒーが書かれています。
サイフォン効果を利用している道具で馴染みがあるものは、灯油ポンプです。最初に上のポンプを握ってシュポシュポします。これは管の中を空気を追い出して灯油で満たす為です。その後は、灯油タンクの液面が移動先の灯油カートリッジの液面よりも上にあれば、自動で灯油が移動します。今回すごい道具だと再認識しました。
水槽で魚を飼っている人は、散水ホースを水で満たしてサイフォン効果で古い水を捨てているそうです。
小さい力で大きな力を生むところにロマンを感じました。
サイフォンの原理について
サイホン‐の‐げんり【サイホンの原理】大気圧を利用し、管を使って液体を高い位置に持ち上げ移動させるメカニズム。始点と終点における液面の高さの差が重力による位置エネルギーの差となり、液体が管内を移動する。管内に真空が生じると液体を移すことができない。水の場合、1気圧の下で最高10メートルの高さまで上げることができる。→サイホン1
出典:デジタル大辞泉
サイホン(siphon)《「サイフォン」とも》1 液体を一度高い所に上げてはじめの位置より低いところに移す、隙間のない曲がった管。→サイホンの原理2 水蒸気の膨張や収縮の力を利用して湯を上下させてコーヒーを入れる方式の、ガラス製のコーヒー沸かし。3 家庭で炭酸水を作るための、小さな炭酸ガスボンベを取り付けた水さし。ソーダサイホン。
出典:デジタル大辞泉
コーヒーサイフォンについて
コーヒーサイホン【coffee siphon】蒸気圧を利用してコーヒーをいれるガラス製の器具。ポットに水を入れ、下部にアルコールランプなどの熱源を置いて沸騰させる。沸騰したら上部にコーヒーの粉を入れたこし器を差し入れる。再び加熱すると蒸気圧によってこし器に湯が移る。火を止め、しばらくすると抽出されたコーヒーが下のポットにこされて下りてくる。◇「コーヒーサイフォン」ともいう。「サイホン」「サイフォン」と略す。
出典:食器・調理器具がわかる辞典
円筒分水について
えんとう‐ぶんすい〔ヱントウ‐〕【円筒分水】
農業用水を分配するための設備。円筒の下部より噴き上げられた水が、各土地の面積の比率に合わせて仕切られた外周部から流れ落ちる仕組み。流量にかかわらず一定の比率で水の分配ができる。
出典:デジタル大辞泉