プライバシーセパレーターは名前負け | バッファローのWi-Fiルーター「WSR-1800AX4B」

https://www.buffalo.jp/product/detail/wsr-1800ax4b-bk.html

はじめに

 今回はバッファロー社の「WSR-1800AX4B」における「プライバシーセパレーター」と「隔離機能」の説明です。これらはIEEEやWi-Fiアライアンスで標準化された仕様がないので、機種が異なると仕様が異なる場合があります。メーカーが異なると名称や仕様が異なる場合があります。

一つの親機に複数のSSID

 現在の機種は一つの無線LAN親機(以後、親機)に複数のSSIDが設定できる。SSIDごとにSSID名、周波数帯、認証方式、パスワードなどが設定できる。

プライバシーセパレーターと隔離機能

プライバシーセパレーター

  • 周波数帯(2.4GHz、5GHz)ごとに設定できる。
  • 設定された周波数帯に所属するSSIDについて、そのSSIDに接続した子機は互いに通信できなくなる。
  • 他のSSIDに接続した子機と通信できる。
  • 親機に接続している有線LANと通信できる。
  • 無線子機から親機に通信できる親機の設定画面を開ける。
  • インターネットと通信できる。
 同じSSIDに無線接続したネットワークプリンターへ接続できなくなるので、邪魔者扱いされている面もある。
「使用する」にチェックを入れると、同一のSSIDに接続した機器は、お互いに通信することができなくなります。有線接続した機器およびインターネットへの通信は可能です。
引用:設定画面のHELP

隔離機能

  • SSID別に設定できる。
  • 設定されたSSIDに接続した子機は互いに通信できる。
  • 他のSSIDに接続した子機と通信できない。
  • 親機に接続している有線LANと通信できない。
  • 無線子機から親機に通信できない親機の設定画面を開けない。
  • インターネットと通信できる。
  • バンドステアリングLite機能を使用中は隔離機能が使えない。
隔離機能を有効にすると、本製品に接続している機器は、異なるSSIDへ接続している機器および有線接続している機器に対して通信を行うことができなくなります。同じSSIDへ接続している機器に対してのみ、通信を行うことができます。
引用:設定画面のHELP

電波帯の特性

2.4GHz帯

  • 速度は遅いが遠くまで届く
  • 電波干渉されやすい

5GHz帯

  • 速度は速いが遠くまで届かない
  • 電波干渉されにくい

バンドステアリングLite

 2.4GHz帯、5GHz帯それぞれにSSIDを持つが、同じ名前を与えられる。子機の通信状況に応じて、2.4GHz帯、5GHz帯を切り替えるよう子機に促す機能です。子機には1つのSSIDを設定するだけで済む。

 バンドステアリングLite使用中は隔離機能が使えないが、プライバシーセパレーターは設定できる。しかし、同じSSID名であっても異なる周波数帯に接続した子機は互いに通信できてしまう。理由は、内部的には同じ名前を持つ2つのSSIDだからだろう。このことは説明書に明記されておらず、セキュリティリスクを生じさせる懸念がある。

セキュリティを優先するには

 バッファローのサポートに問合せた結果、そういう仕様であるので、バンドステアリングLiteは使用せず、プライバシーセパレーターと隔離機能の併用を提案されました。

プライバシーセパレーターと隔離機能を併用した場合

 これらの機能を併用中のSSIDに接続した子機は、インターネットとのみ通信できる。

プライバシーセパレーターは名前負けしている

 プライバシーセパレーターを名乗るなら、いかなる場合でもセパレート(分離)してほしい。通信は目に見えないので、一般的なユーザーに誤解を招くような仕様や名称は改めてほしい。

 また、隔離機能との違いを詳しく説明書に書いてほしい。両者の違いを正確に理解しているユーザーは多くないと思われます。

 実機で検証しないと仕様が分からないのは時間がモッタイナイので、メーカーは正確な仕様を誤解のない表記で説明書に書いてほしい。設定画面のHELPについても同様です。

言葉的には

  • セパレーター(Separator)同じ場所にいるものを分ける機器
  • 隔離(Isolation)別のものを遠ざけて分ける

子機間で接続したくない理由

 コンピューターウイルスに感染した子機、悪意を持つユーザーが持つ子機からの悪影響を全体に及ぼさないためです。

 無線LAN親機で設定したルールを子機は変更できないため、子機に振り回されずに全体のセキュリティを高められるので、重要な要素です。

 プライバシーセパレーターと隔離機能の挙動を理解した上で運用することをおすすめします。

ネットワークプリンターを使いたい場合

前提

 子機(PC、スマホ等)は互いに接続させないが、ネットワークプリンターには接続できる状態にする。

ネットワークプリンターが無線接続の場合

プリンター用SSID

  1. ネットワークプリンター専用のSSIDを用意する。
  2. このSSIDについて隔離機能をOFFにする。
  3. このSSIDが所属する周波数帯について、プライバシーセパレーターは任意に設定する。
  4. このSSIDにネットワークプリンターを接続する。
  5. このSSIDにその他の子機を接続しない。

子機用SSID

  1. 子機が接続するSSIDを用意する。
  2. このSSIDについて隔離機能をOFFにする。
  3. このSSIDが所属する周波数帯について、プライバシーセパレーターをONにする。
  4. このSSIDに子機を接続する。

他の条件

  1. その他のSSIDはOFFにする。
  2. 親機のLAN側ポートに何も接続しない。
  3. バンドステアリングLiteはOFFにする。

ネットワークプリンターが有線接続の場合

LANポートにプリンターを接続

  1. ネットワークプリンターを親機のLANポートに接続しする。

子機用SSID

  1. 子機が接続するSSIDを用意する。
  2. このSSIDについて隔離機能をOFFにする。
  3. このSSIDが所属する周波数帯について、プライバシーセパレーターをONにする。
  4. このSSIDに子機を接続する。

他の条件

  1. その他のSSIDはOFFにする。
  2. 親機のLAN側ポートにプリンター以外は接続しない。
  3. バンドステアリングLiteはOFFにする。

感想

 ニーズがあると思うのですが、現状では機能を制限しながらでしか実現できません。もっと楽に実現する方法を用意してほしいと思いました。

参考資料

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