動画紹介「マイスリー(ゾルピデム)は非ベンゾジアゼピン系だから依存、耐性が少なくて安全ですか?」
https://www.youtube.com/watch?v=85kdql3eD5Q |
動画の紹介
高須幹弥先生が、ご自身のYouTubeチャンネルで「マイスリー(ゾルピデム)は非ベンゾジアゼピン系だから依存、耐性が少なくて安全ですか?」について語っていらっしゃったのでご紹介します。
動画の要約+補足
- マイスリー(成分名:ゾルピデム酒石酸塩)は非ベンゾジアゼピン系
- 非ベンゾジアゼピン系は耐性や依存性が少ない触れ込みで発売されたが、実際は耐性、依存性が結構ある
- 連用すると(ベンゾジアゼピン受容体の劣化によって)耐性ができて、薬をやめると(離脱症状の一つである)反跳性不眠になり、薬なしでは眠れなくなる
- ベンゾジアゼピン系(ベンゾジアゼピン骨格を持つ)と非ベンゾジアゼピン系(ベンゾジアゼピン骨格を持たない)は、両方ともベンゾジアゼピン受容体作動薬であり、薬理はほとんど同じ
- 非ベンゾジアゼピン系という名前が勘違いを生んでいる
- 非ベンゾジアゼピン系には、マイスリーの他に、アモバン、ルネスタがある
- 2015年における日本の合法薬物乱用症例ランキング、第1位:デパス(エチゾラム)、第2位:ロヒプノール、サイレース(フルニトラゼパム)、第3位:ハルシオン、第4位:マイスリー、第5位:ベゲタミン(フェノバルビタール)
- 薬理作用はGABA-A受容体複合体のベンゾジアゼピン結合部のオメガサブタイプに作用して、GABAの作用を増強する
- GABA受容体は脳の興奮を抑えたり、神経を抑制してリラックスさせる
- オメガ1サブタイプ(催眠鎮静作用)、オメガ2サブタイプ(抗けいれん作用、抗不安作用、筋弛緩作用)
- 非ベンゾジアゼピン系は、GABA受容体のオメガ2サブタイプに選択性がやや高い程度で、ベンゾジアゼピン系と比べて害が少ないわけではない
- 翌日の眠気、ふらつき、健忘、認知症のリスクがベンゾジアゼピン系と同じぐらいある
- がん、脳卒中リスクが上がるデーターもある
- 脳にはホメオスタシス(恒常性)があり、GABA受容体作動薬の抑制作用に対してGABA受容体の活性を下げたり、神経細胞の活性を高めたりして抵抗し、不安、不眠、興奮が高まりやすくなり、逆効果になる
- マイスリーが発売当時は、MR(製薬会社の医療情報担当者)が医師を集めて勉強会を開き、ベンゾジアゼピン系と比べて依存性や耐性が低くて安全であると説明していて、最初はそれを信じていた
- マイスリー(ゾルピデム酒石酸塩)は従来のベンゾジアゼピン系と比べると多少安全性が高い程度だと思ってください
高須幹弥先生に感謝
高須幹弥先生が勇気を持って真実を語ってくださっています。正しい情報は人々に選択肢を与えてくれます。ありがとうございました。