「睡眠薬の長期服用にリスク うつ病2倍、感染症44%増も」の紹介
https://dot.asahi.com/wa/2021060900036.html?page=1 |
記事の紹介
記事に登場する薬剤
物質名(成分名) | 販売名(商標名) | ターゲット受容体 | 分類 |
ゾルピデム | アンビエン、マイスリー | GABA-A受容体 | 非ベンゾジアゼピン系 |
トリアゾラム | ハルシオン | GABA-A受容体 | ベンゾジアゼピン系 |
作用の仕組み
非ベンゾジアゼピン系、ベンゾジアゼピン系は共にGABA-A受容体に作用します。GABA-A受容体は興奮伝達を調節する部位で、上記の薬がGABA-A受容体のベンゾジアゼピン結合部位に作用すると、興奮伝達を抑制する力を増強します。その結果、催眠、抗不安、筋肉弛緩、健忘、抗けいれん作用を表します。
ダウンレギュレーション
(前略)その(※ダウンレギュレーションの)結果、自前のGABAでも、服用した睡眠剤でもストレスによる興奮が鎮められず、うつ病やパニック障害に陥っていくと考えられます」
引用:https://dot.asahi.com/wa/2021060900036.html?page=3
GABA-A受容体は薬が干渉し続けると、薬の影響力を弱める為、減少します。それをダウンレギュレーションと言います。それが起きると興奮伝達を抑制する能力が低下します。同じ量の薬では満足できなくなり、薬を増やしたくなります。こうして、悪循環に陥ることがあります。
ダウンレギュレーションからの回復は、今の所、その原因薬を減らすしか方法がありません。しかし、離脱症状の問題があるので、減薬量の調節には細心の注意が必要です。
離脱症状
GABA-A受容体に作用する薬を減薬すると、ダウンレギュレーションの進行具合によって、興奮抑制が満足に働かずに、薬で得られていた効果の逆が起きることがある。睡眠薬を飲んでいる人は、薬を止めると不眠になりやすい。離脱症状には個人差があります。
減薬→断薬
ダウンレギュレーションの問題が深刻になったら、減薬を検討しなければなりません。深刻になる前に減薬の計画を立てたほうが望ましい。
「短時間作用型の睡眠剤を飲んでいる人は長時間作用型に切り替えたうえで、1、2週間の間隔で服用量を5~10%ずつゆっくり減量していくのが離脱成功のコツです」
引用:https://dot.asahi.com/wa/2021060900036.html?page=3
一気に断薬しても何も問題なかったという人もいます。しかし、強い離脱症状が起きた場合、日常生活がまともにできず、救急車を呼ぶほどの重篤な状態に陥ることも考えられます。それがトラウマになり、その後に悪影響を残します。先ずは、担当医との合意の上で、少量の減薬を試すべきです。
処方薬依存を防ぐ
医師は初回処方時に、ベンゾジアゼピンの長期連用でダウンレギュレーションが起きることを説明すべきでしょう。医療行政は安全策として、処方期間に制限を設けるほうが良い。
人任せにしていては無防備です。Webから添付文書の検索ができるので、処方された薬について調べましょう。