記事のご紹介「減薬のための散剤調剤に注意」


「減薬のための散剤調剤に注意」という記事のご紹介

私には筆者や登場人物を批判する意図はありません。この事例から学びを得ることが目的です。

思い出した事

 私がまだ通院していた時に、散剤の%表示の意味が分からずに薬剤師に確認したことがあります。錠剤や散剤は有効成分と添加物で構成されているという事を知らずに、計算方法をだけ聞いたので理解に苦しみました。

散剤を用いる理由

 錠剤よりも量を調節できるので、減薬量を細かく管理したい場合に使います。個人差はありますが、減薬量が大きすぎると離脱症状が大きく出すぎる場合があるので、重要なことです。

錠剤のmg表示

記事中では製剤名が伏せられているので、代わりにデパスを例にします。

 デパスの錠剤は「デパス錠0.25mg、デパス錠0.5mg、デパス錠1mg」があります。このmg表示は有効成分の含有量を示しています。錠剤には有効成分の他に添加物が含まれています。

細粒の%表示

 デパスには錠剤の他に「デパス細粒1%」があります。この1%は有効成分の含有割合を示しています。1000mg中10mgが有効成分です。細粒には有効成分の他に添加物が含まれています。

錠剤を細粒に置き換える

 デパス錠1mgをデパス細粒1%に置き換える計算をしてみます。デパス錠1mgの有効成分は1mgです。デパス細粒1%を100mg計量すると有効成分1mgが含まれます。

デパス錠1mg×1錠 = デパス細粒1%×100mg

 デパス錠1mgから0.1mg減(10%減)の0.9mgにしたい場合、錠剤で用意するのは難しいので、細粒で用意する場合の計算をします。

デパス錠0.9mg相当 = デパス細粒1%×90mg

錠剤で用意できる容量

 デパス錠の組み合わせで用意できる場合は、デパス細粒を使う必要はありません。裏を返すと、錠剤で用意できる容量は限られています。

デパス錠の組み合わせ 有効成分の総容量
デパス錠0.25mg 0.25mg
デパス錠0.5mg 0.5mg
デパス錠0.25mg + デパス錠0.5mg 0.75mg
デパス錠1mg 1mg
デパス錠1mg + デパス錠0.25mg 1.25mg
デパス錠1mg + デパス錠0.5mg 1.5mg

gとmgの混在

 紹介記事ではgとmgの混在が処方ミスにつながったのではないかと指摘されています。私はmg表示で統一した方が良いかもしれないなと思いました。

 デパス細粒1%を0.1g計量指示されていた場合、有効成分は0.001gですが、デパス錠はmg表示しているので、0.001gを1000倍して1mgにして比較する必要があります。最初から100mg計量指示されていたら、その1%が有効成分1mgになるとすぐに分かります。

何を誤解した?

期待している処方

ベンゾ系抗不安薬散10%(製剤量80mg、成分量8mg、1日0.08g)

引用:紹介記事より

旧通院先が作成した引継ぎカルテ

散剤10%(製剤量80mg、成分量8mg、1日0.8g)

引用:紹介記事より

 記入した意図が不明だが、1日0.8gが誤りだった可能性があります。

新病院の処方箋

散剤10%(製剤量80mg、成分量8mg、1日0.8g)

引用:紹介記事より

 引継ぎカルテの通りに処方箋を書いたようです。製剤量80mgと1日0.8g(800mg)が矛盾しているのに気づかなかった、もしくは別の解釈で問題を見過ごしたようです。

新調剤薬局

「成分量が8mgなので大丈夫です」

引用:紹介記事より

 これが成立するのは散剤1%の場合です。計算ミスをしたか、矛盾を解消する為に誤解釈で正当化した可能性があります。

処方箋の表示が分かりにくかった?

 処方箋の例をしらべると次のような表記がありました。

A錠 100mg 1回1錠 1日3回 毎食後 28日分

 調剤薬局はA錠100mgを84(1×3×28)錠用意すればよいと分かります。患者がどのように使うか分かるので、渡し方にも工夫ができます。

 例に倣うと、

散剤10% 80mg 1回1包 1日1回 夕食後 28日

のようになります。調剤において成分量は補助的な情報だと思います。

責任は誰にあるの?

 旧通院先、新通院先、新調剤薬局の3者にあると思います。このミスを一番防ぐべき人は新通院先の医師だと思います。新調剤薬局は矛盾する処方箋の内容と最大処方容量を超えていることを医師に伝えて真偽を確認する必要がありました。

本当に誤った調剤をしていたか?

 調剤薬局が謝罪しているところからすると既に明らかかもしれませんが、受け取った粉薬を計量して、0.8gあるか確認する必要がありそうです。

どうしたら防げたか?

  • 処方箋の誤りは、処方箋を書いた医師に確認する。
  • お薬手帳に調剤内容を記録し続けて、違う調剤薬局に行ったときに違いを指摘する。
  • 0.8gと0.08gは重さが10倍違うので、患者は明らかに増量されたと気付いたら、それを伝える。
  • セカンドオピニオンとして別の病院や調剤薬局で確認を受ける。
  • 添付文書を調べて、矛盾点を論理的に指摘する。

薬の影響は飲んだ人だけ受ける

 精神的なショックも大きいと推察します。私の感覚では山岳遭難中に間違った道を教えられ続けて、致命的な状況に追い込まれてしまったように感じています。

 減薬する道のりをお金で回収することはできません。もしかすると、裁判で賠償金を得られるかもしれませんが、減薬と裁判を掛け持ちすることになります。

 医師の責任で、患者に不必要な減薬の負担をさせることになった場合でも、患者個人の責任に付け替えているように見えます。減薬治療の目的と、処方内容がミスマッチしていると認識されず、多重のミスを起きてしまったように思います。

 医原病を患者個人の責任に付け替えるのを止めてほしいと思いました。向精神薬による薬害の責任追及は難易度が高いので、薬害に遭わないことが最大の防衛になります。処方箋に書かれていることが理解できるだけの基礎知識を持つ必要があると思います。

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