手術後など炎症時における睡眠薬の使用には注意が必要! | 岡山大学
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https://www.okayama-u.ac.jp/up_load_files/press30/press-190221-8.pdf |
今回分かったこと
岡山大学は2月21日に、手術後など炎症時にGABA-A受容体の機能亢進が起きる事を明らかにしました。詳しくは「手術後など炎症時における睡眠薬の使用には注意が必要!GABA-A受容体機能が重要な役割[PDF]」をご参照ください。
(前略)脳内の炎症状態が続いている状況に、ベンゾジアゼピン受容体に作用する薬剤を投与すると、その作用(睡眠延長作用)が増強することが判明。その増強作用は GABAA 受容体の機能亢進が関与していること、さらに、全身炎症を抑制することで GABAA 受容体の機能亢進状態も抑制されることを明らかにしました。
引用:上記のPDF
術後に睡眠導入剤(ベンゾジアゼピン系、チエノジアゼピン系、非ベンゾジアゼピン系)を使用した場合、せん妄(時間や場所が分からなくなる)が高頻度で発症していましたが、そのメカニズムは今まで詳しく分かっていませんでした。メカニズムの解明により術前から術後にかけて適正な薬物治療が期待できるそうです。
GABA-A受容体は興奮伝達を抑える部位で、その機能亢進はGABA-A受容体作動薬の作用増強を意味します。
GABA-A受容体作動薬
- バルビツール酸系
- ベンゾジアゼピン系
- チエノジアゼピン系
- 非ベンゾジアゼピン系(Z薬)
- アルコール(酒類に含まれるエタノール)
GABA-A受容体作動薬の作用
薬剤の種類により程度は異なりますが以下の作用があります。
- 催眠作用(睡眠薬に用いられる)
- 抗不安作用(抗不安薬に用いられる)
- 筋弛緩作用(筋肉弛緩薬に用いられれる)
- 抗けいれん作用(抗けいれん薬に用いられる)
- 健忘作用(手術中の記憶を曖昧にする健忘薬に用いられる)
発表が示唆すること
炎症が起きるとなぜGABA-A受容体が機能亢進し興奮伝達を抑えやすくなるのかについてですが、炎症が収まるまで安静にさせる為の身体の仕組みだと思います。
炎症が起きるのは手術の後に限りません。運動や直射日光を浴びで細胞が破壊された時に炎症は起きます。GABA-A受容体を常用している方は身体に炎症が起きると、その薬の作用が強まる可能性があります。睡眠薬や抗不安薬を使用している方は、急激な眠気が起きるかもしれません。
まだ薬物治療を受けてない方で、眠れないとか気分がスッキリしないとかで悩まれているとしたら、適度な運動をすることで炎症が起きて、気持ちよく眠れる可能性があります。経験からご存知かもしれませんね。
体験から思うこと
私がまだベンゾジアゼピン系などを服用していたころに、1年に6回山登りをした年がありました。登山翌日以降にとても体がだるくなり、強い筋肉痛が1週間も続いていました。今思えば、炎症によるベンゾジアゼピン系の作用増強だろうと思います。強い筋肉痛が長引くのもベンゾジアゼピン系が関係しているかもしれません。そんな私に体力がないとか、弱いとか言ってきた人は何人かいます。その時に説明できず悲しい思いも沢山してきました。それも含めて、GABA-A受容体作動薬の影響を説明するためにこのサイトは存在しています。
研究者に感謝します
岡山大学の研究者の皆様、ありがとうございました。