ベンゾジアゼピンに関する裁判傍聴しました
名古屋高等裁判所 |
2018年6月28日13:10分から名古屋高等裁判所・第1004号法廷で私はベンゾジアゼピンに関する裁判を傍聴しました。裁判の傍聴は初めてでしたので、少し緊張しました。
お断り
予めお断りいたしますが、私は裁判の内容を子細には把握していませんし、今回の判決文を精査しておりません。不正確な内容を含みますので、正確な情報をお知りになりたい方は民事事件記録を閲覧してください。今後、コチラで閲覧できると思います。もしくは原告が公表している情報をご参照ください。
私は全国ベンゾジアゼピン薬害連絡協議会(略称:BYA)に所属しておりませんし、裁判を起こす意志はありません。
法廷見取り図
名古屋高等裁判所第1004号法廷 見取り図 |
事件番号
平成25(ワ)5249
1審判決(平成29年3月17日)
主文
- 被告は,原告に対し,117万7330円及びこれに対する平成16年7月14日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
- 原告のその余の請求を棄却する。
- 訴訟費用は,これを100分し,その99を原告の負担とし,その余を被告の負担とする。
- この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。
参照:判決文の写し
2審判決(平成30年6月28日)
主文
- 本件各控訴をいずれも棄却する。
- 1審原告の当審における拡張請求を棄却する。
- 1審原告の控訴費用及び当審における拡張請求に関する訴訟費用は1審原告の負担とし,1審被告の控訴費用は1審被告の負担とする。
参照:判決文の写し
タイムライン
13:04 原告とその弁護士が入廷した。私は傍聴席に着座した。
13:10 開廷。裁判官3人入場し、起立・礼・着席。
13:11 判決申し渡し。本件は最初。その後、別裁判の判決3件ほど言い渡し。
13:14 閉廷
14:23 桜華会館(蘭の間)へ移動。
14:35 BYA(ベンゾジアゼピン薬害アソシエーション)報告会開催
15:30 解散
報道
中日新聞2018年6月29日朝刊34ページより引用 |
BYA報告会(原告や弁護士からお聞きしたこと)
原告の弁護士に「裁判官は医学や薬学の高度な知識を持っていないに、どうして判決を出せるのか?」と質問したところ、医師が書いた意見書を証拠して扱うことで判決を出しているそうです。今回、原告は6名の医師から意見書を出して、被告は5人の医師から意見書を出したそうです。結果的に被告の用意した意見書が重用されたようです。
被告の用意した医師は原告に直接会ったこともないのに、薬を飲む前からうつ病であったと決めつけられていて、名誉を傷つけられているそうです。その医師の意見が採用されて、治療の影響による損害かどうか分からないとされて、大きく損害賠償が減らされているとのことでした。
今回の裁判で医師によるランドセンの減薬指導内容が、医師の裁量の範囲内から、不適切だったと認定されたそうです。
近頃の裁判官はインターネット上から、攻撃の対象にされていて、プレッシャーを受けているそうです。判決を出す際には、各方面からの感情を忖度していて、既定路線から外れた判決を出せないそうです。
裁判所にとって病院や医師は鑑定を依頼したりと日頃から取引がある間柄で、今後の業務に支障が出ることがないように、病院や医師にダメージを与える判決に慎重になる傾向があるそうです。
近年の裁判官は自分が出す判決に腹をくくる気構えは薄く、判決の与える影響に配慮や憂慮していて、その後の不利益を考えながら判決を出しているそうです。
今回の裁判は判決を先に決めて、それに沿った理由を判決文にしたような印象であるようです。
厚生労働省が2017年3月にベンゾジアゼピンの常用量依存を認めて施策を行ったのに、裁判官はその事実を無視した判決をしたそうです。原告は行政府の判断が正しいなら、過去の治療の判断にも活かせるはずと考えているそうです。判決は行政府の施策を否定しかねない判決で、医療崩壊を招く由々しき問題と感じているようです。
感想
一番驚いたのが、裁判官が本件以外にも複数の判決を朗読したことです。後は判決文に書いてあるから読んでくださいという流れのようです。弁護士に伺ったところ通常のことだそうです。本件の言い渡しは1分ぐらいで終わりました。1年待ったのに対して、1分はあっけなく感じました。
医療裁判、それも精神医療関連は原告の主張が通りにくいことは承知していましたが、それを補強する結果になりました。それでも裁判でこの問題は世間に知らされました。原告の勇気に敬意を表します。
裁判で被害を回復しようと考えるのはかなり難しいので、被害を最小限に抑えるように、考え方を改めた方がいいと思います。裁判に持ち込むような事になる前に対処すべきです。他人を当てにするようでは、隙だらけです。広い意味でセキュリティ意識が低く、専門家に任せきりになる人が、長期的な被害をうけると思います。裁判も他人を当てにした考えとも言えます。
精神科へ通院し治療を受けようとする人は、判断能力が最初から疑わしいし、向精神薬によって更に疑わしくなる脆弱性があります。それを前提にした精神医療の安全設計がなされていないのが現状です。
裁判官や医師をインターネットで個人攻撃するような事は、状況を良くしません。相手を理解する努力をします。相手を批判すると心を閉ざしてしまいます。
これから未来の事なら全員が参加者になれますが、個人の過去のことはそうではありません。過去の事を責めるのは、今の時間も無駄にする分の悪いかけ事になりかねません。時間はお金で取り戻せない財産です。
厚生労働省はベンゾジアゼピンの常用量依存を認めて、満足ではないかもしれませんが、対策を行っています。そうしたのは医療費削減の為で、被害者を忘れ去る為だと原告は仰っていました。私は違う印象を持っていて、理由はともかく、これからの被害を減らして、更に理解者を増やせたと厚生労働省をプラスに評価しています。2016年7月11日に厚生労働省へ足を運んだ甲斐があったと自負しています。
よき理解者を増やしながら、心の荷を下ろしていければ良いなと思いました。